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第一章・15
これは投資です、と雅臣は父に畳みかけた。
「将来、億を稼ぎ出すピアニストになります。私が、保証します」
ふむ、と父親は考えた。
銀行、株式、医療、ITと、様々な分野で資産を運用する神グループだが、芸術関係にはほぼ手つかずだ。
おもしろい、と口角を上げた。
「いいだろう、1千万お前に預ける」
「ありがとうございます!」
「ただし、そのピアニストに芽が出なかったら負債は雅臣、お前が被るのだ」
「承知の上です」
もう一つ、と父は言った。
「将来、必ず神グループを背負って立つ人間となると約束しろ」
「……」
「すでに1千万もの融資を願い出ているのだ。もう避けて通れんぞ」
「解りました」
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