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第一章・19

「700万。いかがですか」  ため息が、もれる。  残念だが、ここまでだ。  たかが玩具に、700万円以上は払う気がしない。 「800万」  どよめきが起きた。  まだ、張り合おうという者がいるのか。  見れば、まだ若い少年だ。  700万の値を付けた男は、プライドも賭けて落としに行く。  会場は、2者の競り合いになった。  830万、840万、860万、900万……。  そしてついに。 「1千万」  かん、と木槌が振り下ろされた。 「1千万円で、落札しました」  信じられない。  こんな痩せっぽちのΩに、1千万の値がつくとは!

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