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第一章・20
一番驚いていたのは、空本人だった。
1千万。
これだけあれば、父さんの借金が完済できる。
僕に、こんな高値を付けてくれた人は、誰?
声は、ずいぶん若かったけど……。
ライトが付いているのは舞台だけで、客席は暗い。
落札者の顔など、とても解らない。
「行きなさい」
司会者に促され、空は袖へ下がった。
手枷足枷が解かれ、服を手渡された。
「すぐに準備して」
慌てて制服を着ると、来た時と同じように目隠しをされた。
手を引かれ、車に乗り、見えない道を移動する。
やがてどこかに着いたようで、屋内へ入った。
椅子に座らされ、目隠しを外すように命じられた。
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