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第一章・39
そして、ブラームス『ピアノ・ソナタ第3番 ヘ短調 Op. 5』。
これは、雅臣と出会った僕。
驚きと、喜びと。
劣等感と、思慕と。
いろんな感情が入り乱れ、くるくる変わる毎日だったっけ。
感情というものを、僕に取り戻させてくれた、雅臣。
ラストは、ベートーベン『ピアノソナタ第23番ヘ短調 作品57』
『熱情』という通称が有名な曲だ。
僕が愛した雅臣が、僕を愛してくれた。
彼への愛の激情を、ピアノで語ろう。
彼に、この曲を捧げよう。
空は、夢中でピアノを奏でていった。
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