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第二章・9
(発情抑制剤を毎日飲んでるから大丈夫だ、って言ってたけど)
Ωのフェロモンには充分気を付けているつもりの涼真だったが、瑞にはそれをも上回る魅力がある。
「あぁ。俺もαじゃなくって、Ωに生まれて来ればよかったのかな」
そうすれば、瑞と痛みを分かち合える。
悩み相談でも、もっと気の利いたことが言えるだろうに。
瑞の悩みはその半数以上が、Ωとして不当な扱いを受けた、というものだったのだ。
優秀な瑞は、愚痴るというより報告のような口調で涼真に相談した。
『明日の会議のレジュメ作成を、Ωだからヒマだろ、って言われて頼まれました』
誰が頼んだ、とは言わないし、誰の方がヒマ、とも言わない。
ちょっぴり口を尖らせて喋り、そして笑う。
『ちゃんと引き受けて、間に合わせましたよ。偉いでしょ』
かける言葉が、見当たらない。
だから涼真は、そんな瑞の肩を引き寄せ、ぽんぽんと叩いた。
頭に手を置き、くしゃくしゃと髪を嬲った。
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