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第二章・11
「こちらが、ご注文いただいていたものになります」
そう言って、瑞はテーブルの上に3枚のデザインを並べた。
今日のクライアントは、イベント会社だ。
来年度の夏、開催される祭りのチラシのデザインを、瑞の部署は任されていた。
「やぁやぁ、ありがとう」
この中年の男性は、データではなく紙に落としたサンプルを喜ぶ。
モニターで見るものと、印刷したものとでは、色合いが違って見えるからだ。
「さすが高橋くんのトコは、いつもいいものを出してくれるね!」
「あ、白河です」
そうだった、と男は笑った。
「ごめんね。まだ慣れなくて」
「いいえ」
3枚の案を見比べていた男は、目を瑞に向けると身を乗り出してきた。
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