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第二章・12

「どれも捨てがたいんだけど、もう少し何とかならない?」 「何とか、とはどういうことでしょうか?」    う~ん、と男は首をかしげて見せた。 「こう、パッションが欲しいんだよね。綺麗なだけじゃなく」 「新規のご注文ですか」  それには、大仰に手を振る男だ。 「いやいやいや、これでいいんだよ。これで。ただ、これに少し手を加えて、だね」 「では、別途料金とお時間を少しいただきますが」 「え? タダでしょ? それと、3日以内にお願い」  信じられない。  膨大な時間と労力で作られたこのデザイン、手を加えるとなると、さらにそれなりの額と時間が発生する。 「そ、それはできません」 「できない? 前任の高橋くんは、いつも何とかしてくれたけど?」

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