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第二章・13

 瑞は、ここにはいない高橋を呪った。  一体全体、どんな手品を使ってこの場をしのいでいたのやら! 「できないなら、他所に頼むけど」 「お待ちください」  瑞は、真っ白になってしまった頭の中に浮かんだ人物にすがった。  武藤さん!  僕、どうすれば……! 『困ったことになったら、すぐに電話しなよ?』  別れ際にかけられた、優しい言葉を思い出した。 「申し訳ございませんが、一度社に連絡してもよろしいですか?」 「いいよ。早くしてね」  余裕しゃくしゃくの男の態度を忌々しく感じながら、瑞は退室して電話を掛けた。

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