54 / 107

第二章・14

「武藤さん、お疲れ様です。お忙しい所、すみません」 「どうした? 何かあったの?」  クライアントがごねている、との報告を聞いた涼真の返事は早かった。 「大丈夫、引き受けてから帰ってきて」 「でも、無料で。それに、3日だなんて」 「後始末は、俺に任せていいから」 「でも……」 「高橋が手品を使ってたみたいだけど、俺だってそれなりのマジックは得意だよ」 「すみません」  瑞は、涙声だ。 「いいからいいから」 「すみません。すみません」  何度も謝り、瑞は電話を切った。 「これは、明日のお昼もお菓子だな」  苦笑して、涼真も電話を切った。

ともだちにシェアしよう!