55 / 107

第二章・15

 結果、涼真は3日間の残業を被った。  例のデザインに、手を加えるためだ。  そのうちの2日は、会社に泊まった。 「すみません、武藤さん。すみません」  ひたすら謝る瑞が、涼真には痛々しい。 「いいんだって、気にしないで。白河くんは、どっちかといえば被害者なんだから」  案の定、昼休みには甘いお菓子をせっせと運ぶ瑞だ。 「これも、夜中に作ったの?」 「武藤さんが頑張っているのに、僕だけ寝るなんて」  堅物だなぁ、と笑いつつカップケーキをかじった。  甘い。  けれど、どこか塩っぱいスウィーツ。  瑞の涙が、隠し味になっているせいだ。  それが悲しい涼真は、ひとつ瑞に提案をした。

ともだちにシェアしよう!