81 / 107
第三章・10
「う、うぅ……。あ、ぅ、はぁぅ……」
体内の稀一は衰えを知らず、その質量を保ったままだ。
まさか、もう一度……。
「今夜はこれで勘弁してやる」
ずるり、と稀一が蒼生の内から去った。
「これで蒼生は、俺の物だ」
「は、い……」
物だなんて、あまりいい表現じゃないな、とかすかに感じたが、朦朧としていた蒼生は、素直にいい返事をよこしていた。
僕は、若宮さんの物になったんだ。
そう考えると、幸福感さえ覚えた。
こうして、恋人同士になったその日のうちに、二人は身も心も結ばれた。
ともだちにシェアしよう!