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第三章・最終話
これを機に、稀一は就活を始めた。
父の、母の経営する会社になら、何の苦労もなく入社できるだろうに、一般企業に履歴書を送り、面接を受けた。
「稀一さん、どうして急に就活なんか始めたの?」
「蒼生の住む世界に、少しでも近づきたいからさ」
それより、と稀一は蒼生に社の案内パンフを数枚よこした。
「どの会社がいいと思う?」
内定率100%。
驚異の就活生・稀一に蒼生は溜息をついた。
やっぱり稀一さん、僕とは住んでる世界が違う。
それでも僕は一生懸命稀一さんに付いていくし、稀一さんは僕を解ろうと努力してくれている。
「これ。この会社がいいな。僕も、この会社受けてみるよ」
「二人で同じ会社に入るのか?」
「うん。そして、オフィスラブしよう♡」
「それは名案だ」
二人、額を合わせて笑った。
二人の世界の交わるところ。
その小さな場所に、巣作りを始めた。
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