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第三章・35

 稀一の体液が、濁流になって蒼生を攻めた。 「あぁあ! あ、あ、あぁんんッ!」 「最高だよ、蒼生。最高……」  繋がったまま蒼生をかき抱き、キスの雨を降らせた。 「あぁ、はぁ、はぁ、あぁああ……」 「な、赤ちゃんできるかな」 「え……?」 「今度妊娠したら、やっぱり真っ先に俺に教えてくれ」 「稀一さん」 「いい父親になれるよう、努力するよ」 「……稀一さんッ!」  今度は蒼生が、稀一にキスの雨を降らせた。  最低で最高な男、稀一さん。  僕は、この人が大好き。  体内の稀一は、まだ張りを保ったままだ。 「もう一回、いい?」  蒼生は、笑ってうなずいた。  月明かりの下、二人は何度でも愛し合った。

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