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第9話
オーロ君を連れてギルドの鍛錬場に行くと、2人組の冒険者がガキンチョ2人に絡まれてた。ガキンチョグッジョブね、コイツら全然捕まらないんだもの。2人とも中々かわいい顔してるし。
「ヴィーノ、剣教えて!」
「うっせーよガキども!大体剣も持てねえようじゃ話になんねえよ、筋トレからやり直して来い!」
「わかった!教えてくれてありがとう!行こっバジル」
「違っ・・・くそっ!ギルドに来るたびこれかよ!」
ガキンチョ2人は手を繋いで走って行ったわ。
微笑ましいこと。さて、もういいかしらね。
「ちょっと、そこのヴィーノルド・パウロ・ウヴァロッソ・ビアンコさん」
嫌味たっぷりに言ってやったわ。でも無視しやがったから、仕方なく今の名前で呼んでやったらやっとこっちを見たわ。
「は?なんだよ」
金髪碧眼のイケメンが誰?って顔してる。やっぱり覚えてないのね。アンタの書類何枚訂正したと思ってんのよ、イケメンなのがなおムカつくわ。
「貴方の代理人のエイジ・アルジェントです。
この度退職することになりましたのでご挨拶に。
今後はこちらのオーロ・アラーミが引き継ぎます」
オーロ君はよろしくお願いします、ってお辞儀をした。イケメンは興味なさそうにふーんって頭を掻いてただけだけど、今まで黙っていたバディっぽいムキムキの男が
「そうか、世話になったな」
なんて言うものだからちょっとビックリしちゃったわよ。お礼なんて初めて言われたわ。
「引き継ぎにあたって新しく書いてもらう書類がありますので、少々お時間頂けますか。
サイン一つで済みますので」
「はあ?なんだそれ、めんどくせえ」
「サイン一つで済むっつってんでしょこのおブス」
イケメンは目を丸くしてたわ。
「要はこっちに丸投げする代わりに文句は言うなって誓約書よ。で、どうするの。渡航手続きとか税金の控除とか全部自分でやるの?」
「わかった、わかったよ、サインすりゃ良いんだろ」
はー、やっと全部終わったわ。心置きなく送別会に出られるわね。
「大体なんで急に・・・アンタなんかやらかしたのか?」
まあ失礼しちゃう。眼鏡をクイってして言ってやったわよ。
「寿退職です」
ってね。
『ミス・シルキーの結婚』 end
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