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第57話
春陽くんはお父さんのところに行かせなかった。意識のないお父さんだが何だか後ろめたかった。お母さんが来る場合もあるし、今日東京から来るのは早紀ちゃんだと嘘をついていたせいもある。早紀ちゃんには悪いが彼女だとお母さんは思っている。
病院を出て大通りを渡ると細い川が流れていて、河津桜や梅の花が咲いている。土手にはコンクリートで出来たベンチがあって、3人くらい座れるスペースがある。はす向かいにコンビニがあるので何かか買ってくることも出来た。
「何飲む?買って来るよ」
誠也は頬をあげて言う。
「じゃあハイボールにしようかな。俺ら飲んでばかりだな」
春陽くんはそう言うと肩を竦めた。
「花見は飲むだろう。つまみも何か買って来るよ、昼飯は食ったのか?」
「まだ食ってない」
「じゃあ、ホットスナックがいいかな。春陽くんはここで待ってろ」
誠也は大通りを渡ってコンビニに行った。
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