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第66話

 ベッドで抱きしめあって眠る。明日は休みだし、春陽くんは夜から仕事だ。時間は十分ある。ゆっくり寝て、明日、ランチを一緒にしてもいいし、もう1度出してあげてもいい。誠也は色々思考しながら深い眠りについた。  次の日に目を覚ましたら春陽くんが目を細めて誠也を見ていた。 「なに見てんだよ。恥ずかしいじゃん」 「いや、流石、歌舞伎町で人気のホストだな。寝顔もカッコいい」  春陽くんは口角をあげる。 「あのなあ、顔と人気は関係ねえぞ。俺なんか凄く豆だ。昼間はお客さんに必ず連絡いれてるし、たまにアフターだってする」 「まさか、枕営業?」  春陽くんは眉間に皺を寄せる。 「それはしたことねえよ」  誠也は笑って春陽くんを抱き寄せた。一生このままでいたいな。 「渋谷区にマンション借りて一緒に住まねえか?」  春陽くんは思いたったように言う。 「俺とお前が?」 「ああ、毎日さ、口で出してやんよ」 「マジ、何言ってんだよ。でも、いいアイデアだ。そうだな。よし、日曜日は不動産屋に行くか?」  誠也は嬉しくなった。一緒に住めるなんて夢のようだ。  それから10年、2人は一緒に住んでいた。レズの友達を蘭丸さんに紹介して貰って偽装結婚もした。幸せなんて、本人の価値観だ。男同士だって、女同士だって幸せを追求する権利があると誠也は思う。 「お父さん、海に連れてって」 「ああ、いいよ、春陽くんの夫婦も誘ってみんなで行こう」  誠也は大事な愛娘を見ながら顔を綻ばせた。

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