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 30分以上かけること。  条件を満たすために、吉野くんは、俺の全身をくまなく愛でてくれた。  背中に口付けられながら、こりこりと乳首を刺激される。 「ん、……吉野くん、キスしたい」  聞こえないくらいの小声でつぶやいて、振り返ろうとしたけど、させてくれなかった。  背中をつーっとなめ上げながら、しつこくしつこく胸を愛撫される。  外野はかなり乱れていて、ほとんどのひとはもう他人の目なんか気にせず、堂々と自分のものをこすっている。  来ているひとたちはもちろん、普段は他校の女子の話ばっかりしている。  別にゲイってわけじゃないだろうし、面白半分とかノリで見にきたんだと思う。  だから、なぜいま性的な対象みたいな感じで見られているのかがよく分からないし、恥ずかしくて惨めでたまらない。  ……そう思うのに。 「吉野くん、もう欲しいよ……」  我慢の限界で、周りに聞こえるくらいの声でねだってしまった。  馬鹿にするような笑い声。これ見て興奮してるくせに。 「オレもっかい抜きたいー。早くヤれよー」 「いや、倉持泣かせてから挿れろ」 「倉持が泣いてすがるとこ見たいなー」 「吉野、どーすんだよー」  外野が騒ぎ出して、どうしたら澤村くんたちに怒られないかを考える。  チラッと3人を見ると、桜井くんがこそっと、何人かを指差した。  赤い顔をして、無言でこすり続けているひと――要するに、まだイッていないひとだ。  多分、あのひとたちをどうにかしろと、桜井くんは言っている。  泣きそうになりながら言った。 「吉野くん、おちんちん、挿れて」  教室中が、ドッと大爆笑。  あまりにみじめで涙がこぼれて、でも目の端で、ひとりイッたのが見えた。  自分でローションを手に取って、四つん這いになって、お尻に塗り付ける。 「ここ……」  まだイッてないひとにちょうどお尻の穴が見える角度で、ねだる。  吉野くんが、くっと眉間にしわを寄せた――たぶん、察してくれた。  吉野くんはかなりの量のローションを手に取って、ぐじゅぐじゅと音を立てて指を出し入れした。 「ぁあ、ん、っ……指やだ、おちんちんください」  桜井くんの指示に従ってるのもあるけど、実際ほんとに欲しくて限界なのもあって、腰をくねらせて喘いでしまう。 「はあ、ぁあ……ん、よしのくん、欲しい……おねがい、」  自分でお尻を開いて見せた。  穴がひくひくしているのが自分でも分かる。  ……と、誰かのうめき声が聞こえた。  もう勘弁して欲しい。  哀願するように吉野くんを見上げると、こくりとうなずいて、コンドームをつけた。  俺の腰をがっちりホールドし、ずぷずぷと埋めていく。 「ぁあああ……」  気持ち良くて、お尻を突き出すように体をしならせてしまう。  吉野くんは、まるで動物の交尾みたく、カクカクと小刻みに腰を振った。 「あん、ぁ、あっ、ん、ぁんッ」  ずっと期待して焦らされていたから、我を忘れて喘いでしまう。  ペニスはだらだらと先走りをこぼしてソファを汚していて、奥へ打ち込まれれば、甲高(かんだか)い嬌声を上げてしまう。  なけなしの理性はどこかへ行ってしまった。 「ああ、あんッ、吉野くん、きもちい、気持ちいい、ぁああっ……ん、はあ」  彼の律動に合わせて、自分も自然と腰を打ち付ける。  パンパンと肌のぶつかる乾いた音と、馬鹿にした笑い声、自慰するひとの荒い息遣い。  教室の中は独特の青臭さとたばこの匂いが充満していて、むせてしまう。  それでも吉野くんと繋がっているところは気持ち良くて、狂ったように嬌声を上げる。 「イ、ぁあッ……っ、気持ちいいっ、吉野くん、はあ、おちんちん気持ちいい」  だらしなくよだれを垂らして、快感を受け止めるだけ。 「あ、もう、イッていい? イキたい、イキたいッ」 「でたー倉持のトコロテン!」 「あはは、早くしろー」 「んぁあっ……吉野くん、して、……ぁ、あッ」  ガンガンと突き上げられて、あごが跳ね上がる。 「ぁあッ!……!イク、イクッ!あぁあ……!……ッ!」  ビュクビュクと熱を吐き出して、あとはただ、吉野くんに気持ち良くなってもらうだけ。 「あぁっ、よしのくん、すき、好きっ……ぁ、すき……」 「ヒュー底辺ホモきもちわりー!」  からかう声をかき消すように、好きと何度もつぶやく。  吉野くんはスピードを上げてガンガンと突き上げたあと、俺の背中にしがみつくようにして果てた。

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