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第82話

前を歩いている藍澤が止まったので 俺も止まる 「ここで話しましょうか。」 ここは…中庭か。 何の話だろうか。 まあ、セイの事なのは確実だろうけど。 そう言い振り向いた藍澤の顔は とても言葉で表せない複雑な表情をしていた。 「で、話って?」 悪いけどそんな複雑そうな顔されても それに突っ込んでやれるほど お前と俺は仲良くない。 気にはなるけど興味は無いから。 だからいつも通りに聞く 「神崎は鬼頭くんと別れるんですよね? そのつもりなんですよね?」 ほらやっぱりセイ絡みか。 「そうだけど何? お前に関係ある?」 毎回毎回本当にしつこい。 これもセイが早く別れてくれれば解決なのに。 「俺さっきの屋上にいましたけど、 別れる相手とキスしてあんな色気でるもの? そもそも、別れる予定のキスするっておかしくない?神崎って誰とでもキスとかそうゆうの出来るわけ?」 藍澤…あの場にいたのかよ! 色気云々は悪いけど俺には分からない。 「ハグとキスまでなら誰とでも出来るけど 俺外国にいる事多いし向こうでは普通だから。」 外国にいる事が多いのもあるし 撮影とかでもするわけで 基本誰とでも出来てしまう。 まあ、コイツには理解出来ない事だろうけど。 「ならさ、俺とでも出来る?」 「は?」 急に何言い出しちゃってんのこの人。 「神崎になんでもしてもらえる券 キスで。」 は? え、待って 何こいつ… 「何お前俺とキスしたいわけ?」 「はっ!?だ、誰とでも出来るなら俺とも出来るだろ!…あれだあれ!き、鬼頭くんと間接キス出来るだろ!」 ああ。そっちか…びっくりした。 間接キスとか小学生かよ。 「はいはい。セイとキスしたいわけね。 いいよ、しようか。」 俺とキスしてセイと間接キスするよりも セイに直接キスしてもらったら良いのに… と思っていると 「よっしゃあ!!!!」 「え?」 「…あ。」 え、まじこの人どうしたわけ? 見ちゃったんだけど 「よっしゃあ!!!!」って叫んで 思いっきりガッツポーズしている所を。 まてまて1回整理しよう。 頭ん中混乱してきた。 藍澤=ヤクザヲタでセイが好き 藍澤=俺のことが嫌い だったと思うんだけど… だったよね? 俺別の世界にトリップしちゃった? ないわ。それはない。 何この状況怖い。怖すぎる。 「…あのさ、えーっと 良いんだよね?」 「あ、うん。」 何だこの気まづい空気は! 自分のそれを見られて微妙な顔をしている藍澤と怖すぎて若干引いてる俺。 これからキスする相手とこんな空気なったことないんだけど… はぁ。 ここは、とりあえずスルーして俺がリードするしかないよなぁ。 藍澤あんま慣れてなさそうだし。 はやく終わらせて帰ろう。 終わってからさっきの事聞けばいいし、 なんならこのままスルーしてもいい どうせ一瞬だしな。 キスすればいいんだから ちゅっぐらいでいいっしょ! 「藍澤?良い?」 藍澤を見つめそっと唇を合わせた。 「…ぇ、んぅ…やぁまっ、まってあいざっ!」 「無理」 ええええええええええええ こいつ絶対経験なさそうだからリード出来ないだろうなぁ とか ぶっちゃけ下手そう とか思ってたんだけど 唇を合わせて藍澤と目があった瞬間 彼の何かしらのスイッチを押してしまったらしい… 下手そうとか思ってた数分前の自分が恥ずかしい。 下手どころか上手すぎるわ!!! 待ってって言ってんのに待ってくれないし ちゅっで終わると思ってたのに舌入っちゃってるわ! 名前呼んでも落ち着くどころかヒートアップしちゃってるんですけど… どうすれば!?

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