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第2話
ダイレクトメールが届いて一分。僕は教科書を盾にスマホの画面を操作して、彼――ゆうじさんが開いたクエスト画面をタップする。
すると早速、
『らっしゃい!』
という言葉が、小さな金髪美少女アイコンから、飛び出してきた。
可愛らしいちびキャラに似合わない言葉だな、相変わらず。俺はそう思いながら自分の黒髪で地味な、杖を持った眼鏡男のちびキャラを動かした。
彼女に襲い掛かろうとしている、三匹の恐竜のような赤と緑と黄色のモンスターが火を噴くと、バリアの魔法を発動させて六角形の薄い水色の防御壁を立てる。
『サボり魔サボり魔ー』
と煽ってみると、
「同罪だ!」
と返ってきた。
『むかつく! かえる!』
と打ち返すと、小さな美少女が泣くような仕草で両目を擦り、涙を撒き散らしながら、
『うそです!』
と、吹き出しを出した。
僕は笑ってしまいそうな口元を抑えて、彼の防御力を支援した。水色の光が彼の操作する少女の周りをくるくると回ると、彼の総合値が上がった。続いて魔法攻撃力も上げる。
『これいけます? 魔法攻撃専門もう一人欲しいですね』
このモンスターは物理攻撃よりも、魔法攻撃が有効なのだ。
『この時間は無理じゃないか?』
僕達はそんなことを呟きながら、結局十分は掛かるクエストを、十五分たっぷり制限時間ぎりぎりまで掛けて、二人でクリアした。
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