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第1話◎きっかけは……

「んんっ……ぁっ❢❢」 あんたら、仮にも教師だろう…… それを見たのが あたしでよかったな❢❢ 委員会で帰るのが遅くなった ある日の放課後、あたしは 船見先生と水無瀬先生が 数学教官室でヤってるところを目撃した。 おいおい、此処が学校だと わかってるだろうが…… あぁ、水無瀬先生は確信犯か。 ドSな俺様だもんな。 二人はあたしにまったく気付かない。 放課後とはいえ、他の教師達も 何人か残っているだろうし こんなところを見られたくないだろう。 特に船見先生は。 はぁ~仕方ない。 あたしは少し開いている 教官室のドアを叩いた。 その音に気付いたのか 船見先生の甘い啼き声が止んだ。 『先生達さ、此所学校だから』 つかつかと二人の傍に行く。 「ふ、福津さん!?」 予想通りの反応が返ってきた(笑) 「お前、まだ残ってたのか」 水無瀬先生はニヤリと笑った。 やっぱり確信犯だ。 『委員会があったんで』 あたしと水無瀬先生は 坦々と話している。 『ヤるのはいいけどさ 流石に教官室は やめた方がいいと思う。 船見先生の甘い啼き声が 廊下まで漏れてた』 教官室のドアが少し 開いてたのもあるが。 「福津はこの状況に動じないな」 まぁ、あたし自身がバイだし。 『兄貴がゲイだから』 そう、九つ上の兄貴はゲイだ。 「だから教官室は嫌だって 言ったじゃないですか❢❢」 なるほど、 水無瀬先生に抗議はしたんだ(苦笑) あたし達が話している間に 船見先生は身だしなみを整えたみたいだ。 『まぁまぁ、船見先生落ち着いて』 水無瀬先生から守るように 船見先生を引き寄せた(笑) 『二人はそういう関係なんだよね?』 セフレってのもありだけど 二人の雰囲気は紛れもなく恋人だ。 「//////」 へぇ~船見先生カワイイな。 見た目も綺麗だけど 中身も無垢っぽい。 水無瀬先生はイケメンだけど いかにも腹黒ドSって感じだよな。 「それより、お前、帰んなくていいのか?」 教官室の時計は五時半を指していた。 ヤバっ、今日は兄貴の店で バイトの日だった❢❢ 『先生達、駅の近くにある 【Cachette secrète】ってバー知ってる?』 兄貴がやってる所謂ゲイバーだ。 「何でその店 知ってるんですか!?」 知ってたんだ。 『兄貴の店だから。 ついでに、そこでバイトしてるから』 そう言うと二人は硬直した。 マジでヤバい。 『先生達じゃね~ あたし 今からバイトだから』 ○。○。○。○。○。○。○。○。○。○。○。○。○。 あれから二時間。 あたしは急いで帰り着替えて 兄貴の店に向かい バイトの真っ最中。 『いらっしゃいって あたしの店じゃないけど』 お客の一人と話ながら カクテルを飲んでいると 先生達が入って来た。 酒を置いて二人を案内する。 『お決まりになりましたら 声をおかけください』 バイト仕様の敬語で話し カウンターの中に戻る。 『芙美乃、あの二人と知り合いか?』 常連なのか? 『うちの学校の教師だよ』 来ればと言ったのは あたしだし、 本当にあたしがバイトしてるのか 確かめに来たんだろう。 『酒、大丈夫か?』 あの二人が教師だと 言ったから心配してるんだな。 『大丈夫だよ』 船見先生は 身体に良くないとか言って 心配してくれるだろうけど 水無瀬先生は気にしないだろう。 残りのカクテルを飲み干し 空いたテーブルを片しに行くと 二人に呼び止められた。 「お前、さっきカクテル飲んでただろう」 やっぱりバレてたか。 『気にしない気にしない♬♡*゚』 軽い口調で言うと 予想の斜め上をいく 返事が水無瀬先生から返ってきた。 「酒、飲めるなら 今度俺の家で三人で飲むか?」 『いいけど、 カクテルかビールしか飲めないよ?』 あたし達の会話を黙って聞いていた 船見先生は困った表情(かお)をし 兄貴は恋人の蒼汰君と一緒に笑っていた。 「それは了承ととるけど?」 水無瀬先生がニヤリと嗤った。 『そのつもりだよ』 あたしも嗤い返した。 飲みの約束をし、 二人とアドレス交換をした。 ○。○。○。○。○。○。○。○。○。○。○。○。○。 翌日、一時間目は 波瑠くんの社会だった(笑) 実は昨日、二人が店から 帰る時に言われた。 名前で呼んでほしいと。 校内でも呼びそうだから 却下したが聞いてもらえなく、 逆に校内でも呼んでほしいと 言われてしまった。 「芙美乃さん、おはようございます」 あたしの今の席は真ん中の一番前。 つまり、教卓の真ん前だ。 『波瑠くん、おはよう』 あたし達のやりとりをみた クラスの反応が可笑しかった。 「和巳が昼休みに教官室に 来てほしいと言ったましたよ」 和くんは何の用? あれの日程の相談とか? 『わかった、昼休みに行くよ』 学校でする相談じゃないけどね(笑) 『和くん、来たよ』 昨日、此所で二人の事情の真っ最中に 出会したわけだけど からかってみるか(ニヤリ) 『二人の愛の巣に お邪魔してよかったわけ?』 あたしの言葉に波瑠くんが顔を真っ赤にした。 「特別に芙美乃は許してやるよ」 和くんの返しに 益々、顔を真っ赤にしている。 『それで、何で呼んだの?』 案の定、あれの相談だった(笑) 日程は夏休み最初の日に決まった。

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