4 / 6

終話◎親友です❢❢

三人で飲んだあの日から 一ヶ月が経ち、夏休みも 残り半月となっていた。 兄貴と四人で 出掛けたりもした。 ある日、店に 新顔の女の人が来た。 『いらっしゃいませ』 バイト用の笑顔を浮かべる。 「あなた、この前 和巳と一緒にいたわよね」 『失礼ですが貴女は?』 予想はついてるけど 訊かないわけにはいかない。 「和巳の元カノよ」 成る程、予想は的中したわけだ。 大方、あたしを和くんの 新しい彼女だと 思ったんだろうな。 『和くんと仲いいですけど それは、あたしが和くんの 生徒で飲み仲間ってだけです』 夏休み始めに和くん家で 飲んでから何回か 四人で飲んだりしていた。 「飲み仲間って、 貴女未成年よね」 和くんの生徒だからね。 『ええ、まぁ…… あっ、一つ忘れてました。 和くんは親友ですよ』 兄貴が何処かに電話し始めた。 和くんだろうけど(笑) まぁ、元彼が 同性と付き合ってるとは 普通思わないだろうし。 私を新しい恋人だと 思うのはわからなくもないけど。 『芙美、 和が波瑠と一緒に今から来るってよ』 聞こえただろう言葉に 女の人が反応した。 二十分後、店の扉が開いた。 『和・波瑠、いらっしゃい』 兄貴が二人に声をかけた。 「崚凱、迷惑かけて悪いな」 和くんが謝ることじゃない。 『和は悪くないだろう』 全くもってその通り。 「何で、お前が此処にいる」 隣にいる波瑠くんさえも ビクっとなる程和くんは 怒っていた。 「その子と一緒に いるところを見かけて調べたのよ」 興信所か探偵に頼んだわけか。 「芙美乃は生徒であり飲み仲間で親友だ」 「二人して同じことを言うのね」 思っていることが同じでよかった(笑) 「じゃぁ、隣にいる彼は?」 付いてきた波瑠くんが気になるみたいだ。 「同僚であり世界一愛してる恋人だ」 とうとう言ったね。 世界一とかよく惜しみ無く言えるよね。 波瑠くんは顔が真っ赤だ。 「はぁ~?」 “普通の人”の反応はこうだよね。 「だから、 波瑠将は【恋人】 芙美乃と崚凱は【親友】」 波瑠くんを抱き締めなが言う。 本当、バカップル(笑) 兄貴達も大概バカップルだけど 上をいくバカップルがいたな。 「わかったら、店から出ていけ」 飲んでかないなら 邪魔なだけだしね。 そもそも、此処は 女性が来る場所じゃない 言っても動こうとしない元カノに 和くんがとうとう怒鳴った。 「他の客の迷惑だ❢❢」 開けてからそんなに経っていないから お客もまばらだが確かにこのまま 居られたら邪魔だし迷惑だ。 「和巳、落ち着いてください」 波瑠くんに手を握られ 怒りが収まったみたいだ。 『此処は店です。 何時までも居られては迷惑です』 事の成行を黙って 見守っていた兄貴が口を開いた。 「何故、貴方に そんな事を 言われなければいけないのかしら?」 従業員だと勘違いしているのだろう。 『オーナーとして 当然のことを言ってるだけですよ』 和くんの元カノは 案の定、驚いた表情(かお)をした。 『では改めて、 貴女が和巳の恋人と 間違えたこの子の兄で 波瑠将と和巳の親友の 福津崚凱と申します』 兄貴は馬鹿っ丁寧な挨拶をした。 ”普通の人”が見れば 赤面しそうな笑顔をはりつけて(苦笑) 私達からすれば あの笑顔の時は近付きたくない。 兄貴のあの笑顔は “キレてる時”にする表情(かお)だ。 「ふぅちゃん、大丈夫かな?」 恋人の蒼くんも “ヤバい”と思ったのか カウンターから飛び出して来そうだ。 子供の頃から あまりキレない兄貴が キレた時は本当にヤバい(汗) あれを止められたのは 他界してしまった両親だけだった。 時間的には そろそろ混み始める頃だ。 「オーナー、ピリピリしてるね」 和くんの元カノが 来るより前に来ていて 一部始終を 見ていた常連さんの一人が 微苦笑しながら私達に話かけてきた。 『そうですね……』 どうやって兄貴の気を治めるか…… 一番はあの人が さっさと帰ってくれることだけど。 二人が来てから二十分後。 やっと帰った↓↓ 和くんと波瑠くんは 奥の席で飲んでいるのだが 先程の常連さんをはじめ 何人かに囲まれている。 「兄ちゃん、災難だったな」 少し年配の常連さんは 和くんの肩をバシバシ叩いている。 常連さん達に囲まれている 二人を見て隣にいる蒼くんと笑った。 「芙美ちゃん、追加❢❢」 『は~い』 色々あったけど、 二人が常連さん達と 仲良くなったのは嬉しい(,,Ő x Ő,,) o○o。+。o○o。+。o○o。+。o○o。+。o○o 色々あったけど、 今日から二学期が始まる。 「授業始めるぞ」 二学期最初の授業は 和くんの数学(笑) 私達は一生涯親友だ。

ともだちにシェアしよう!