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第二章・10
「てか、河島。お前、マジカワ!」
男子も女子も、メイド姿の千尋を撮影して喜んでいる。
「これって、罰っていうより大当たりなんじゃない?」
「ちゃんと迫れよ。キスしろよ!?」
あぁ、と千尋は手で額を押さえた。
こんな格好、絶対弦先輩には見せられない!
惰弱どころの騒ぎではない。
最悪、寮を追い出されるかもしれない、と千尋は恐れていた。
(でも、絶対来ちゃダメって言っておいたし)
こんなチャラチャラした催しは、先輩は嫌いだと言っていた。
きっとサボってくれるに違いない。
明日一日の辛抱、と千尋は大きくため息をついた。
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