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第二章・11
帰り道、背後に弦の気配がない。
(おかしいな。弦先輩、いないのかな)
いぶかしく思いながら帰途に着いた千尋は、先に帰宅していた弦の姿に驚いた。
寝室で、布団を頭からすっぽりかぶって丸くなっているのだ。
「弦先輩、どうしたんですか!?」
具合でも悪いのかと心配すると、たいしたことはないと言っている。
だが、なんだか顔色が悪いようだ。
そのまま横になっているようにと言っておかゆの用意をしていると、弦はのそりとリビングに現れた。
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