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第二章・30

 だから欲しかったんです、と笑う千尋。  不死鳥は、俺だ。  俺が欲しかったのか、千尋。    そっと、弦は千尋の両肩に手を置いた。  早退までして、無駄に布団をかぶって丸くなっていたわけではない。  自分の気持ちというものを見つめなおし、整理していた。  このところの、千尋に対する俺の気持ちは変だ。  単なる後輩への感情を超えた、何かがある。  変という字は、恋という字に似ている。  俺は、千尋に恋をしてしまっているのだ。  

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