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第三章・5

 ただ、ひとりで留守番をしている千尋は少々さびしかったが。    しかし、漠然とながらも将来は医者になれれば、と考え始めている千尋。  ひとりでこつこつと勉強をがんばっていた。    弦先輩が傍にいれば、ここまで集中できないだろうな、と頬を染める。  朝のキスを思い出し、指先で唇に触れた。    温かい口づけ。  優しい先輩。  穏やかな毎日が嬉しかった。  そんな穏やかな日々に、石を投げ込み波紋を作る訪問者が突然現れた。

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