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第六章・17
とんだことになった、と頭を抱えながらも、男ならば一旦引き受けた仕事は最後までやり遂げねばならない。
弦は気を取り直して、応援合戦に挑むことにした。
昼食休憩後すぐに行われる種目なので、千尋が作った重箱の弁当を腹八分に食べた。
飽食で気を緩ませていてはダメだ。
そして、突如湧いたこの事実に惑わされてはダメだ。
(千尋! 俺は、お前だけを見て応援するぞ!)
朗々とした声で白組勝利、などと謳いながら、心の中では逞しく成長した千尋の事を思っていた。
体が弱くて泣き虫だった、千尋。
いじめられて、いつも俺の背中にかくれていた千尋。
それが見事に成長した。
俺を慕って、同じ高校へ入学してきてくれた大切な後輩。
(千尋、俺はいつでも、いつまでもお前を応援しているからな!)
弦の熱い想いは審査員にも届いたのか、10点満点の10点を見事獲得した。
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