159 / 239

第六章・22

 がばり、と弦は千尋を横抱きにして鬼のように走り始めた。  今川を抜き、小林を抜き、加藤を抜いた。  そして立ちはだかる審判。  彼がうんと言わなければ、先へ進めないのだ。  弦に突き付けられたカードと千尋とを、審判は交互に見た。 「有効ッ!」 「よし!」  後はゴールを目指すのみ!   全校の腐女子が弦と千尋の姫だっこにキャアキャア叫ぶ中、見事一位でテープを切った。

ともだちにシェアしよう!