239 / 239
第七章・34
「将来は執事か。まぁ、お前が主人なら、考えてみるかな」
「弦先輩~♡」
「早く食え。冷めるぞ」
「はい!」
うふふ、とクロワッサンに手を伸ばした千尋は、ふとそれをやめて一つ咳ばらいをした。
大げさに胸を張り、ちらと流し目をよこす。
「海江田くん、食べさせてくれないかね?」
ぷッ、と吹きだした後、弦は小さくちぎったクロワッサンを千尋の口元まで持って行った。
「お召し上がりください、ご主人様」
あ~ん、と口を開けて食べたクロワッサンは、世界一おいしい朝食の始まりだった。
ともだちにシェアしよう!