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第七章・34

「将来は執事か。まぁ、お前が主人なら、考えてみるかな」 「弦先輩~♡」 「早く食え。冷めるぞ」 「はい!」  うふふ、とクロワッサンに手を伸ばした千尋は、ふとそれをやめて一つ咳ばらいをした。  大げさに胸を張り、ちらと流し目をよこす。 「海江田くん、食べさせてくれないかね?」  ぷッ、と吹きだした後、弦は小さくちぎったクロワッサンを千尋の口元まで持って行った。 「お召し上がりください、ご主人様」  あ~ん、と口を開けて食べたクロワッサンは、世界一おいしい朝食の始まりだった。

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