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第七章・33
「すごい。ありがとう、先輩!」
「どういたしまして、ご主人様」
「もう。そのご主人様っていうの、いい加減やめてください。」
「そうだな。じゃあ、執事ごっこは終わりにするか」
うん……、と少しの間考えて、千尋は気になっていたことを思いきって吐き出した。
「ね、先輩。就職とか、考えた事ありますか?」
「どうした、急に」
千尋は、文化祭の弦を見て佐藤たち友人が、なかなか似合ってる、将来の職業は執事でもいいくらい、などと言っていたことを打ち明けた。
こんな事言って、先輩怒るかな。
佐藤くんたちを、シメに行ったりしないよね?
そんな風に、少し後悔しだした千尋の耳に届いたのは、意外にも小さな笑い声だった。
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