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第七章・32
心地よいまどろみの中、千尋は眼を覚ました。
隣には愛しい弦先輩が……いない。
「あぁ~。先輩、先に起きちゃったのか」
昨夜は思う存分愛し合った。
しかしそのせいか、少々体がだるくておっくうだ。
でも、先輩が起きてるんなら朝ごはん作らなきゃな、と千尋は身を起こしベッドに座りなおした。
すると。
「お目覚めですか、ご主人様」
「弦先輩!」
開いた寝室のドアの向こうから顔をのぞかせた弦の手には、トレイがある。
そしてその上には、何と朝食が準備してあるではないか!
「え? ええっ!?」
「体がしんどいだろう。そのまま食うといい」
ベッドに座った千尋の膝上に、トレイが乗せられた。
クロワッサンに、ホットミルク。
ヨーグルトにはフルーツまで入れてあり、スクランブルエッグが温かな湯気を立てている。
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