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第1話

「君達、やめろ!」  白石霧也の声に、教室の隅の4人が顔を上げた。  5時限目の出来事だ。  教師の気が弱いのをいい事に、不良グループがポーカーを始めたのだ。  大人の注意を無視し、金まで賭け始めた。  そこで、とうとう霧也は立ち上がった。  正義感と、クラスの委員長という肩書が背中を押した。 「あぁ?」 「ンだぁ?」  4人の視線が霧也を捉えたその時、声が上がった。 「やめな」  威圧感充分な、この声色。  東仁だ。 「東、態度でかいんだよ」 「いい気になってンじゃねぇぞ」  不良たちを一瞥すると、仁は顎を動かした。  表へ出な  言葉にしなくても、解かる。  カードを放り出し、教室から出てゆく仁と不良共。  教師は形ばかりの注意をし、生徒たちは息を詰めてやり過ごした。  ただ、霧也だけは放っておけなかった。 「先生、彼らを止めてきます」 「怪我のないようにな」  見当はずれの言葉に脱力したが、霧也は気を引き締め直して仁たちの後を追った。

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