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第10話

「ギブアップしやがったぜ」 「気持ち悦いか?」  そんな不良共の囃し立てを、恥辱に耐え聞いた。  そうやって意識が反れた時に突然、仁が体内に流れ込んできたのだ。 「あ! あぁあ!」  思わず放った自分の声が、宙で凍った心地がした。  仁は、スキンを着けていなかった。  熱い体液を直に受け止める衝撃に、霧也は堪えきれなかった。 「イイ声!」 「最高!」  手を叩き、笑い、靴で小突いてくる不良共。  そのうち、ぞっとする声が聞こえた。 「写真撮るぞ」  ただ、この提案には珍しく仁が口を挟んできた。 「俺が撮る」  半裸で、自らの精に腹を汚したその姿。  瞼を閉じ、苦しげに息を吐いている霧也。  仁は、何も言わずにシャッターを切った。 「よし、行くぞ」  去っていく足音。  もう誰も、霧也のみじめな姿を囃す者はいない。    目尻にとどまっていた涙が、一粒こぼれた。  霧也は、しばらく動く事ができなかった。  

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