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第19話

「う……っ、んん……ッ。ふ……っ」  霧也の呻きが、水音の合間に聴こえる。  グランズを吸い、棒芯を舐めまわし、裏筋をつたう。  お決まりのパターンだ。  たどたどしい唇の動きも、舌使いも、巧いとは程遠い。 (だけど、どうしてこんなに感じちまうんだか!)  痛いほど張り詰めた仁のペニスは、早く霧也の内へ挿入りたいと悲鳴を上げている。  仁は根元を抑えると、声を上げた。 「ヤバい。ちょっと、離れて」  その焦りに、霧也はほくそ笑んだ。 「降参か?」 「ああ!」  もつれる指先で霧也の部屋着を剥いだ仁は、何日も何回もかけて解した薔薇色の蕾へ先端を打ち込んだ。 「あ! あぁあ……っ」  挿入る。  まだ挿入る。 「は……っ……あ……」  奥の奥まで仁を受け入れた霧也は、それだけで息を荒げていた。 「あぁ……」  大きく息をついた霧也の唇に、優しく仁がキスをした。 「動くぞ」  身構えた。  あの時の記憶が、甦ってしまったのだ。  痛かった。  ただ、それだけ。  いや、だけど仁だけは。  仁の時だけは、痛みを感じなかった。  腰突きも、不良共は力任せだったが、仁だけは穏やかだった。

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