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いざ、天羽学園へ

日本の高校に通う事が決まったのが三月の終わりで、手続き等を済ませ日本へ向かったのが四月の中旬。入学式には間に合わなかった。が、入学する予定の私立天羽学園は初等部から高等部まであるエスカレーター式の学校。つまり初等部からの人間がほとんどなので、入学式に間に合わなかったくらいでは関係ない位には、既に出遅れている。 天羽学園はTOKIWAグループの経営している学校の一つだったりする。ちなみに男子校。理事長は常盤の分家の人間だから、まあ、遠い親戚だ。従兄弟が今この学園の中等部と高等部にいて、俺の学校というものの知識源になった人達。 憧れの学校というものへの第一歩を踏み出した訳なんだけど、実は既に問題が発生している。この天羽学園は一つの山を丸々私有地として建っていて、中等部と高等部は全寮制。高等部は山の頂上付近にあるので、ここまでは実家の車で送って貰った。 到着の予定時刻は伝えてあるし、迎えをくれると連絡もあった。が、待っても待っても誰も来ない。というか、門の中にすら入れない。 門はどうやら手動ではないようでビクともしない。乗り越えれない高さではないけど、乗り越えて良いのものかが悩むところ。 悩んでいても仕方ないがないので周りを軽く探索していると、木で隠れていたがインターホンを発見!ホッとして、とりあえず押してみた。 リンゴーンっ 『はいはーい!今日こっちの門の通行の予定無いはずなんだけどどちら様ー?』 少し低めのベルの音が鳴ったあとにインターホンから聞こえた声が、何処と無く忙しそうに早口で尋ねてきた。ん?通行の予定がない?どういう事だ。 「今日入寮する予定の常盤レイラなんだけど、聞いてない〜?」 ちなみに海外生活だったけど日本語もしっかり使えるよ。敬語は得意じゃないけど。 『は!?え!!、なんでこっちにいるんだよ!?いや、今開けるから待ってろ!動くなよ!!!』 何だかとても焦っていた。てか騒がしい。うるさい。 よく状況の掴めないままその場に立っていると、先程ビクともしなかった門がひとりでに開き始めた。50センチ程開いた所で、中から20代後半位の男が体を滑り込ませて出てき、こちらに向かってくる。猪のように真っ直ぐこちらに。え、ちょっと怖い。 「こっちに迷いこんでたんだな!まさか裏門にいたとはなー・・・。今正門では編入生が居ないってちょっとした騒ぎだぞ!」 「え!!ここ裏門なの!?」 だから人居なかったのか!!しっかりしろよ小太郎!!!(運転手) 「いやまぁ、見つかって良かったー。たまに森で迷子になる奴いるから今回もそうかと思ったぜ。連絡したからすぐに迎えが来るはずだし、一旦中に入ろう」 そう言い案内されたのは第二守衛室と書かれた建物。第二という事は確かに裏門で間違いないみたい。 「俺は裏門の方を管理してる香山優希だ」 「優希くんね、よろしく〜」 「あははっ名前呼びか!新鮮でいーな!」 「俺はレイラだよ」 「おっけー!レイラね。今日が入寮なんだってな。これからよろしくなー」 優希くんはちょっとユルい感じで屈託なく笑う。あまり気取らない感じで歳上だけど話しやすい。 「正門と裏門って遠い?迎えに来る人にちょっと悪いことしちゃったなー(小太郎が)」 「距離はちょっとあるな。まあ、若者はそんぐらい動けってんだよ!」 金持ちはすぐ車で移動だからなーとボヤいてる優希くん。思うところがあるみたい。ここ金持ちの集まる学校だもんね。俺も金持ちだけど。 「にしても、すっげぇ美人がきたからビックリしたわ。普段野郎ばっか見てるからなー。お前学校始まったら気をつけろよ?」 「?何に気をつけるの?」 「何ってこの学園はホモの巣窟・・・って程は多く無いけどホモとゲイとバイが割りといるんだよ」 その顔だと一瞬でターゲットだぜって。わーお。でも別にそのくらいではレイくん驚かないゾ!元々海外にいた時から人気者だったからね。そっち系の人達に。どうせ人気が出るなら、ちょっとエッチなお姉さんを希望。おっぱいに挟まれたい。 「全寮制の男子校って言っても休日は外出可能だし、そこまでそういったの多く無かったんだけどなー。この数年やたら顔が良い奴が何人もいて、人気もホモも右肩上がりで急増中ってゆー」 「イケメンもなかなか問題なんだね」 まったり会話をしていると、コンコンっと扉を叩く音が聞こえた。

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