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俺の楽しいはまだまだ続く

「じゃあ実際に何をするかだけど、」 「あ、それなんだけどさ宝探しとかどうかな」 「宝探し?」 そう、校内を使った宝探し。校内の何ヶ所かにあらかじめ宝箱を隠しておく。それを宝の地図を元に探し出す。 「地図って言っても実際はヒントを集めながらゴールを目指すスタンプラリー。校内の色んな所を回ってクイズや謎解きに答えながら宝箱を見つける。全学年一人づつの三人のグループで協力してミッションクリアって感じ」 俺が考えたのはそんな感じ。出題するクイズの内容は、一年生だけじゃわからないような、でも上級生と力を合わせると何とかわかる、そんな内容がベスト。 「確かにそれだと、他学年との交流もとりつつ、校内探索も出来るね」 「面白そう!」 「いいんじゃないか?」 そのままみんなで宝箱の隠し場所やクイズのの案を出し合い、ざっくりとした内容が決まった所で今日の生徒会活動は終わった。殆ど俺の思い付きで内容を決めてしまったが、みんなも楽しそうだと言ってくれたので問題ないだろう。 「じゃあ今年は宝探しか」 「そう!嵐ちゃん今年はサボれないからね?」 「お前もな」 寮に戻るといつものように一日の報告を嵐ちゃんにする。去年は鬼ごっこの後半は温室でまったりして過ごした俺達。俺は別にちょっと休憩するくらいの気持ちだったけど、嵐ちゃんは初めからやる気が無かった。でも今年はグループ戦になるので嵐ちゃんにもしっかり参加してもらう。 でも懐かしい。去年の今頃はまだ嵐ちゃんと出会う前。忙しく日本に来るためにスケジュールに追われていた。それから一週間後には嵐ちゃんと出会い、その一ヶ月後には付き合い始めることになる。そんな事をまだ知らずに初めての学校にそわそわしていたんだ。 「一年ってあっという間だね」 「この一年は色々変化があったからな。余計に早く感じたな」 本当にこの一年は色々な変化が盛りだくさんだった。でもそれはきっとこれからも同じ。ということはこれからの人生も色々なことがあっという間に過ぎていくのかもしれない。 そう思うとやっぱり楽しく生きないと勿体ない。楽しいと時間が過ぎるのが早く感じると言うけど、楽しい時間の価値は何もない時の何十倍もあると思う。だから俺は毎日楽しく生きたい。そして俺の人生の価値を何千倍、何万倍にもするんだ。 「俺は将来楽しいことをやり尽くして、思い出の重みに押し潰されて死ぬんだよ」 「何急に物騒なこと言ってるんだよ」 物騒かな?目に見えるものじゃないけど、楽しいことをやり尽くしたらきっと、ああ、もうこれ以上の幸せはない、もう満足だってなる時が来るはず。その時がきっと俺の寿命。でも俺は力持ちだからそれはまだまだ先。あと最低でも80年は必要。もしかしたらそれでも足りないかな。 「ねぇ、嵐ちゃん」 「なんだ」 「これからも俺がやることにちゃんとついてきてね?」 俺はこの一年がそうだったように、これから先も、俺の隣には嵐ちゃんにいて欲しい。 「しょうがないから最後までついてってやるよ」 性格はちょっぴりワガママで、ちょっぴり甘えたがり。末っ子気質で実際に三人兄弟の末っ子。自己中とまではいかないけど、程よくマイペース。 父親の十六弥くんは世界でも名の知れたTOKIWAグループっていう会社の現社長。母親のカレンちゃんはヨーロッパを中心に活躍しているモデル兼デザイナー。そして俺の夢でもあるモデルの師匠。 そして嵐ちゃんこと結城嵐太郎。俺の同室者であり、先輩であり、恋人。出会って一年だけど、これから先の人生を一緒に過ごすパートナー。 晴れて去年高校生デビューを果たした俺、常磐レイラ。今年は生徒会入りして更に楽しく学園生活送っちゃいます!!

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