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学園の天使といえば

そこからは立て続けにやってくる生徒達がそれぞれの一番を料理人に伝えては、満足そうな顔をして次の目的地を目指して去っていく。 俺は座って完食したチームにヒントを出していくだけなので、ぶっちゃけ暇だった。それでも次から次へと来る生徒に忙しそうに動き回るカズマとモリーの姿や、美味い!と言って料理を平らげる生徒の姿を見ているのは楽しい。だってどちらもすごくいい顔をしている。 その頃生物室では2-Sの担任であり、生物教師である仲宗根一がクイズを出していた。 (ハジメ視点) 「はい、次の目的地のヒントは“天使の眠る場所”」 この問題の答えは図書室にある絵画をさしている。図書室は授業で利用することもあるので二、三年生なら大体一度は目にしているはず。そこまで難しくない問題のはずなのだが・・・ 「天使!?天使といえばレイラちゃんだろ!」 「レイラ先輩が眠る場所・・・寮!?」 「いや、保健室でよく寝てるって聞くぞ!」 目の前の生徒達についため息がもれる。いや、別に目の前のこのチームだけではない。ここに来た生徒の大半とこのやり取りをしてきた。 去年から担任を務めるクラスに編入してきた常磐レイラという生徒は、編入初日から学園の天使として認識されている。まあ、天使のような見た目というのは分からないでもない。しかし担任としては少し天然で可愛いやたらと顔が良い生徒と言うだけで、他の生徒と変わらないのだが。 (人気があり過ぎるのも困ったもんだな〜) どうにか考え方を修正させ正しい回答に辿り着いた所ですぐ様次のチームがやってきた。そのメンバーを見て、またため息がもれそうなのをどうにか持ちこたえる。 「(また面倒な奴らが揃って・・・)“天使の眠る場所”はどこだ?」 「え!?レイラ君が眠る場所!?そんなの俺の腕の中しかないでしょ!!」 「山野井君何言ってんの!?レイラ君が眠る場所とか結城先輩の腕の中しかないでしょ!!ですよね!?結城先輩!!」 「あいつが眠るのは俺の傍以外ないな」 目の前に現れたのは生徒会の弟山野井と、サッカー部の桑名、そして天使の彼氏である結城。どいつもこいつも・・・常磐レイラ大好き軍団のトップと名誉会長じゃねぇか。というか、この学園の生徒は実は阿呆しかいないのか。揃いも揃って同じことを言いやがって。普段の優秀な姿はどこにいった。 「この答えは常磐じゃない。さあ、もう一度考えろ」 「えぇーっこの学園にレイラ君以上の天使とかいないでしょ!」 「本当っすよ先生!!」 「お前ら一回黙れよ・・・そして冷静にもう一度考えろ」 おいおい何で俺の方が意味わからないことを言っているような目で見られなければいけないんだ・・・。 その後も結局天使=レイラと言い張る山野井と桑名のせいでなかなか答えが出ない所を、一番常識のある結城が図書室という正解を導き出してくれた。というよりは、多分こいつは初めからちゃんと答えがわかっていたのだろう。面倒だからと後輩二人に好き勝手させていたのだ。 「俺はレイラ君以外の天使がいるなんて認めないですからね!?」 「あ〜でもレイラ君なら天使もいいけど、逆に悪魔とかもいいかも・・・妖艶な雰囲気の色気むんむん悪魔」 「!!嘉乃君それあり!!」 「もうお前ら早く次行ってくれ・・・」 何故か答えが出てもなお生物室で盛り上がり続けるこいつらをどうにかしてくれ。 「ねぇ嵐太郎君!やっぱレイラ君夜も最高!?色気垂れ流し!?」 「勿論ですよね結城先輩!?結城先輩とレイラ君とかもう最高以外有り得ないですよね!?」 何を聞いているんだこの馬鹿二人は・・・。せめて俺が居ないところで聞いてくれ。ほら、結城だって困るだろ・・・!! ずっと静かだった結城に目線をやると、先程までの面倒くさそうな表情から一転、口角をくいっと引き上げた大人の俺から見ても色気のある顔で、 「お前らが想像してる、100倍えろいぞ」 「「「!!!」」」 お前のその顔の方がえろいわ!!!! と、つい心の中で全力でつっこんでしまったのは仕方ない。 (ハジメ視点終了)

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