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第30話
溺愛と言う言葉は、敏樹の崇に対する振る舞いにぴったりかと思われたが。
(可愛い妹をたぶらかした僕にこそ、冷たく当たりそうだけどな)
しかし、現実はその逆だ。
敏樹は何も、崇に対して体だけを求めたわけではなかった。
宿題を見てくれたり、オーディオでレコードを聴かせてくれたり。
小さくなった服を、お下がりにくれたりもした。
(今日、結愛ちゃんが心配してた、って言ってみよう)
水曜日の放課後、崇はいつものように敏樹とタクシーに乗った。
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