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第37話

 足取りも軽く、崇は敏樹の部屋を目指した。  長い廊下をどんどん歩き、エレベーターに乗り、また廊下を歩き、ようやく敏樹の部屋までやって来た。 「敏樹さん、僕です。崇です」 「やあ、崇くん。よく来てくれたね」  嫌だなぁ、と崇は拗ねた。 「二人きりの時は、崇、でしょう?」 「結愛の前で『崇』なんて口を滑らせたら困るだろう」  閉じられたドアのすぐ傍で、二人は唇を合わせた。  待ちわびたキスをした。

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