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第1話

   価値のあるものなんて、世の中に一握りくらいしか存在しない。その他は大体ゴミかクズ。 「ちょっとフユ、ちゃんと聞いてんのぉ」  老若男女問わず、その辺に転がっている人間の大半は無価値だ。俺も含めて。ああなんて退屈なことだ。  そして俺は、退屈なことが大嫌い。 「ねえフユってばぁ」  香水だかアロマだか知らないが、甘い匂いの染み付いたベッドに寝転がってスマホを弄る俺の上に、同じ匂いを纏った女がのし掛かってきた。脂肪の多い女は重い。 「おい退け、てめえデブなんだからよ」 「ひっどーい」  ひっどーい、じゃねえよ。だから退けって。  にこにこ笑って悪びれもしない女に舌打ちを一つかましてやる。これで少しも臆さないのは、俺が本当にキレたことが一度もないからだろう。 「でさー、フユ。明日のことなんだけどぉ」 「おう」 「これ見て、このお店のマカロンすっごく美味しいんだって」 「おう」 「フユ甘いの好きでしょ、ここ行こうよぉ」 「おう」 「やった、じゃあ明日十一時に予約しとくからね」 「おう。……は?」 「もうすぐクリスマスだからねー、予約しないとすぐに席が埋まっちゃうらしいの」  気付いた時にはネット予約を開始していた。めんどくせえな。まあ、別にいいけど。どうせ予定なんてないし。  ここのところしばらく、あいつに呼ばれていない。ガッコーのオベンキョウが忙しいのか。友達と遊んでて俺に構うほど暇じゃないのか。  とりあえず、あいつに呼ばれない限り俺が暇だということは確実だ。ああ、退屈。つまんねえな。  俺は真冬。苗字はない。  親もないし家もない。世の中の大半の連中が持っているものは持っていないが、世の中の大半の連中が渇望する類稀なる美貌(自称)は持ち合わせている。ついでに嘘とスリの技術も備わっている。  ある冬の日のことだ。俺は十歳くらいだっただろうか。俺はその日、人生で初めての失敗を犯した。  繁華街の夜を凍えながら歩いていると、前から塾帰り風の小学生がやって来るのが見えた。  なんていいカモ。ちょうど、獲物を探して彷徨っていたところだ。寒いし腹は減ったし、あいつをカツアゲして小遣いをもらおう。品の良さそうな坊ちゃんだ、ちょっと強請ればいい金額が出てきそうだ。  そう画策し、人目を盗んでその少年を路地裏へ引きずりこんだ。ナイフを向けて脅しの言葉を口にしようとしたとき、幼い俺はやっと間違いに気付いたのだった。  ――子供とは思えないような、冷めた少年の双眸。  射竦められたように、俺は動けなくなっていた。そして次の瞬間には、ナイフはそいつの手に収まり俺の首に当てられていて、押し倒されて馬乗り状態になっていた。 「いいカモが来た、なんて思ったか」  変声期前の声だというのに、酷く大人びて聞こえたのをよく覚えている。 「残念、見誤ったな。僕の勝ちだ」  品が良いと思っていた少年は、いつの間にか下賤な笑みを口元に浮かべていた。  唖然とした俺だったが、すぐに理解した。もう自分はおしまいなのだと。警察に突き出され、少年院だか更生施設だか、息が詰まるような場所に押し込められるのだ。  人生に執着などなかったから、すぐに諦めもついた。ゲームオーバーなら、いっそ今、そのナイフで刺し殺されてもいいとも思った。 「なんだ、抵抗しないのか」 「無駄なことはしねえんだよ、俺は」 「僕に何をされても構わないって?」 「仕方ねえよ、俺が悪かったんだから」  今まで、幾人もの通りすがりを踏み台にして生きてきた。盗んで、脅して、巻き上げた。それを悪いことだとは思わない。生きるための術だ。だから、盗まれて、脅されて、巻き上げれた奴らが悪い。  それと同じように、今回は俺が悪かった。 「ミスった俺が悪いんだからしょうがない。それに、お前絶対逃がしてくれそうにないじゃん」 「そうだな。逃がすつもりはない」  ほら見ろ。この歳でこんな鬼畜な笑い方をする奴に、憐情なんてある訳がない。  ――ところが、事態は思わぬ方向に転がり始めた。 「逃がすつもりも生かすつもりもない。でも、“活かす”つもりならある」  そう。百舌鳥原《もずはら》慎はこの頃から、冷徹な非人間の如き人間だったのだ。 「お前、名前はなんて言うんだ。――ない? 名前すらないのか。ならお前は今日から『真冬』だ。真冬の夜に見窄らしく僕に襲いかかってきた哀れな野良犬だから、真冬。それでいいだろう。――ごちゃごちゃ言うな。真冬、お前は今日から僕の飼い犬だ。とりあえず僕の家に来い。食事と寝床くらいは用意してやる。その代わり、お前は一生僕の所有物だ。――いいな?」  そして最後に、百舌鳥原慎少年は悪どい、だが見るもの全てを魅了するような清廉さを持った笑顔を、冬の夜の路地裏できらめかせた。 「ちょうど、便利な駒が欲しかったところだったんだ」  その日を境に、俺は真冬になった。  早朝六時。着信音で目が覚めた。あいつの専用着信音は、条件反射で俺を反応させる。三コール以内に出ないと横暴なあいつは仕置きだとか言い出すからだ。 「よお! ひっさしぶりじゃん、何で連絡してくれねえんだよ」 『真冬、起きてたのか。珍しいこともあるな』  起きてたんじゃなくてお前が起こしたんだろうが。そう思ったが口にはしなかった。こいつは全て見透かしたうえで言っているのだと知っているからだ。 『今どこにいる』 「あ? 女の家だけど」  同じベッドの中、隣で寝ていた女が小さく身じろぎして毛布を被り直した。煩いのだろうが、生憎俺もベッドから出るつもりはない。昨日の名残で素っ裸のままなのだ。冬の朝方にこの格好でベッドから一歩踏み出すのは、なかなかの勇気が必要だ。 『もっと具体的に説明しろ。どこの女の家で、最寄駅はどこなのか』 「マリナんち。××にあるから、たぶん最寄は××駅だな」 『そうか。なら、三十分で来れるな』 「は?」 『今から三十分後、うちに来い。来なかったら仕置きだからな、真冬』 「おい、待てよこのっ……」  口を挟む隙も与えずに通話は切られていた。しかも三十分って、間に合うとは言っても“走ったら間に合うかもしれない”くらいの距離じゃないか。 「くっそふざけんなよ……」  悪態をつきながらも、ベッドから這い出て脱ぎ捨てた衣類を集め始めた。百舌鳥原慎の言葉に脅しはない。間に合わなかったらどんな目に合わせられるか。  ――だが。  それを抜きにしても、俺は呼びかけに応じるだろう。百舌鳥原慎はこのつまらない世界で唯一、俺に最上級の快楽を与えてくれる人間だ。  最近は退屈で退屈で死んでしまいそうなところだったのだ。あいつに呼び出されるのも久方ぶり。  口元は自然と弧を描いていた。胸の奥から高揚感が湧き上がってくるのを抑えることも、できなかった。 「……フユ? 何してんの」  流石に物音が大き過ぎたのか、マリナが寝ぼけ眼を擦りながらこちらを見ていた。安い上着を羽織りながら答えてやる。 「用事ができた。つうわけで、今日出かけらんねえわ」 「ええー? 折角予約したのに……次は絶対行こうね?」 「はいはい。じゃあな」 「うわぁ約束守る気なさそ〜。もういいよ、友達と行くし。ばいばい、お仕事頑張ってねぇ」 「おう。てめえもな」  ひらひらと手を振って、再び微睡んで夢の世界へ戻っていったのを見送ったところで、俺もちょうど身支度が終わった。  踵の潰れたスニーカーを引っ掛けて扉を開けると、ボロアパートの二階から見下ろす外の世界には、薄っすらと雪が積もっていた。  二十四日は近い。今年はホワイトクリスマスが拝めるかもしれない。だからと言って何があるわけでもないが。  あいつに打ち負かされて拾われた日のことを頭の片隅に思い浮かべながら、まだ日の登らない寒空の中を俺は行く。  今日が月曜日で幸いだった。休日ダイヤだったら、運良くちょうどいい電車を捕まえられていたかどうか。 「二十五分で到着とは。流石、真冬は利口な犬だ」  裏道を駆使して何とか百舌鳥原家に着くと、慎は広い自室のソファに腰掛けて、優雅に茶を飲んでいた。ちなみに、百舌鳥原家のチャイムや門扉など全てスルーして、ここまで無断で入り込んできた。慎の両親は俺という犬の存在を、苦々しく思いながらも黙認している。 「すっげえ急いだからな。お前に急かされたから」 「まあ取り敢えず、そこにでも座れ」 「無視かよ、つれねー」  顔色一つ変えずに慎は向かい側の大きなソファに俺を勧めた。そこに座ると、正面にいる一人掛けソファに座る百舌鳥原慎と、向かい合わせの形になる。  品良く紅茶なんかを飲める慎と違って、俺は素行が悪い。挟んでいたテーブルに手をついて、ぐいっと慎に顔を近づけた。揺れたテーブルの上のティーカップの中に波紋ができた。 「慎。こうやって会うの、随分ご無沙汰じゃねえの? なんで最近呼んでくれなかったんだよ、寂しいじゃん。なあ?」  上目遣いで挑発。慎の伏せ気味の長い睫毛を数えられるくらいの距離感。  これくらいの年の奴らなら、男も女も大体、これだけすれば簡単に落ちてくる。だというのに、慎は何事もなかったかのように紅茶を啜った。 「………………それで?」  だが毎度のことながら、百舌鳥原慎にはそれも効かない。 「……ちっ。お前実は悟り開いてるだろ」 「可笑しなことを言うな、僕は普通の男子高校生だ。人並みの物欲や性欲くらいある」  いけしゃあしゃあとそう言う慎の、何処が一般的な男子高校生なものか。電車の中などで時折見かける男子高校生は、ゲームと女子と下の話しかしないような生き物だ。対して百舌鳥原慎は、出家僧もびっくりの清廉さである。ただし性格は歪みきっているが。 「それより本題に入ろうか。僕もこれから学校に行かなければならないんだ」 「おう。で? 何の用で俺は今日呼ばれたわけ?」 「簡単なことだ」  そして言葉通り百舌鳥原慎は、息をするのと同じくらい簡単なことを告げた。 「真冬。お前はうちの生徒の一人を抹消しろ」  事も無げに、例えば、今日の朝食のメニューを語るかのように。  いかにも良い子な優等生の顔で耳を疑うような発言をする百舌鳥原慎には、もうだいぶ慣れている。俺とてさして驚かずに、詳細を尋ねた。 「抹消っていうのは、どれくらいの抹消?」 「程度は構わない。退学してくれれば、それで。あとは生かすも殺すも真冬、お前の好きにしていい」 「へえ。んで、なんでそんな物騒なことになっちゃったわけ、そいつは」  最近の慎は、学園の理事長から指示を受けており、内密に「学園清掃」を行うのは、良くあることだ。  だが大体の場合において、問題の生徒はせいぜい停学処分、重くても自主退学程度だ。名門学校様は何かと世間の目が気になるのである。  件の生徒のことを思い出したのだろうか、慎は形の良い眉を寄せた。 「彼はダメだ。ずる賢く薬をばら撒いて金儲けしているくせに、肝心なところの詰めが甘さが祟って、こうして情報が漏洩しているんだから。もっと上手く隠蔽できるなら見逃してやったところを」  なるほど。相手は薬物の売人か。  学校という閉鎖空間で退屈さを持て余した子供達は、きっと簡単に薬物の闇に乗り込まれてしまうだろう。 「野放しにしておけばそのうち、学外にも噂が広まって、学校の名前に傷がつく。……と、理事長は御冠だ」 「なーるほどな。薬の痕跡も含めて跡形もなく処分しろってことだな」  改めて慎からの命令の内容を確認する。  ターゲットはアサクラトモナリ。私立鳴陽学園の二年生。演劇部所属。人当たりが良く、友人は多い方。明るくてクラスの中心的な普段の姿とは裏腹に、売人として危険薬物【アレグロ】を校内に垂れ流している。  俺の仕事は、アサクラトモナリが持つ薬物などの物的証拠を確保、その後全て処分し、かつそいつを学園内から抹消すること。 「いいぜ、承った。こんなんラクショーだろ」 「そうか。お前の仕事ぶりには期待しているぞ、真冬」  紅茶を飲み干した慎は、ティーカップやらを指差して、「片付けておけ」と言ったかと思うと、学校指定のジャケットに袖を通し始めた。 「え、ちょ、おい慎」 「なんだ」 「なんだ? じゃねーよ! 学校行く準備してんじゃねーよ!」 「何を言っているんだ。さっきも言っただろう、今日は登校日だ」  俺の理解力を哀れむような呆れの視線に「そんなこと知ってるっつうの!」と噛み付く。そういう問題の話をしてるんじゃないだろうが。 「さっきも言っただろ! 久しぶりに会ったんだからさ……もっと構えよ。なあ、慎……」  慎ににじり寄り、あわよくば背後のベッドに押し倒そうと画策する。 「……ほう、なるほど」  俺の主張に考える素振りを見せ、顎に手をやる慎。まさかの脈アリか、と期待がわいていたところで、慎はいつもの聖人の笑みを浮かべてこう言った。 「出て行けこの駄犬」  百舌鳥原慎に叩き出された。 「くっそ! 慎の奴、足元見やがって……!」  毒突く俺に返事をする声は、百舌鳥原家の広い廊下にはない。  ここで駄々を捏ねて扉を叩いても、慎は絶対に入れてくれない。どうして確証があるのかと言うと、実際にやったことがあるからだ。  冬の朝の廊下は、これまた冷たい。特に今は裸足なので、指先から凍りつきそうな程かじかんでいる。慎からの呼び出しに急いだあまり、マリナの家に靴下を忘れてしまったのだ。 「帰りに買っていかねえと、この時期じゃあ生活できねえよな」  俺と一緒に廊下に放り出された、今回の任務道具一式を抱え込む。今日のところは大人しく帰るのが吉だ。  慎は忙しい。いつでも構ってくれるわけじゃない。  ――昔は、いつも側に置いてくれたのにな。  何となく寂しさが募ってきて、それを慌てて飲み込んだ。これ以上、寂寥感が幅を利かせないうちに、足早に廊下を進んでいたそのときである。 「うおっ!?」  いきなりすぐそばの扉が開いたかと思うと、ぬっと現れた腕によって中へ引きずり込まれた。この間、俺に抵抗する隙はない。完璧な犯行であった。 「いってぇ……てっめえ! 何すんだもがっ!?」  台詞が終わらないうちに、無遠慮に口を押さえられた。骨張って線の細い手だが、力は馬鹿みたいに強い。  打ち付けられた腰がじんと痛む。何で俺がこんな扱いを受けなければならないのか。そういう意を込めて、犯人を睨み上げた。 「そんな可愛く睨まれても逆効果、って使い古された言い回し、知らないの?」 「むぐぐっ、もがっ」 「ん、なんて?」 「……ぷはっ! 鳥肌立つからまじでそういうのやめろ、きしょいわ! って言ったんだよ」  ただでさえ寒いのに、余計に寒気が増した。  なんとかもがいて解放されたので、すぐにその男から距離を取る。そいつは酷いなぁ、なんて嘯いて俺の警戒心を嘆いて見せたが、決して過剰反応ではない。防衛本能だ。  切れ長な一重の目元や薄い唇、通った鼻筋。涼やかな印象を受ける顔の造形は慎と似通っているものの、慎より格段に下品なにやけ面のこの男。名前を百舌鳥原禅という。三歳離れた慎の実兄だ。  顔と歪んだ性格には血の繋がりを感じるが、この男は人当たり良くにこにこ笑っていながら、その実かなりのクズである。主に性的な方面で。  俺自身もこいつに何度酷い目に遭わされたか分からない。そういった経験もあり、俺は不用意にこの男に近づかないと心に決めている。  ああ、思い出すだけでも反吐がでる。泣いて嫌がるガキの頃の俺に自慰の仕方を無理やり教え込んだり、「女の子を確実に落とすテク」だとか称して執拗に舌をねじ込んでキスをしてきたり。  小さな親切、大きな災厄とは、まさにこのことだ。 「お前、まじ何の用だよ。俺は忙しいの、お前に構ってやる暇はねえんだよ」  二人掛けソファにゆったりと腰を掛けた禅に向かって、吐き捨てる。隣を勧められたが無視して、立ったままを貫いた。禅は気を悪くすることもなく、頑なな俺を愉快そうに眺めて、 「お前じゃなくて禅、でしょ。真冬」 「どうでもいいわ。帰っていい?」 「ダーメ。俺はこれでも真冬のためを思って声を掛けたんだよ」  二人しかいない静かな部屋の中では、声を潜めても、それははっきりと聞こえた。 「アレグロには関わらないほうがいいよ」  たった今、慎に聞いたばかりのその名前。  これは機密事項で、部外者の禅には知り得ないことだ。こんな辛うじて糸一本で繋がっているような兄弟仲では、慎がティータイムのお茶請けに秘密を禅と共有するとも思えない。  俺は禅の目の前に迫り、セーターの胸元に掴みかかった。  こいつ、また懲りずに慎の邪魔をするつもりだ。 「盗聴とか趣味悪いなァ、お兄ちゃん。……何処に隠してたんだよ、言え」 「なんのことかな?」  服を掴んだ右手に力を込めて凄む。しかし、禅は全く動じないままだった。  こいつは昔からそうだった。いつも慎や俺に周りを掻き回し、惑わせる。歳下の弟を、無意味に、愉快犯的に、快楽主義的に、笑顔で奈落に突き落とそうとする。しかも不気味なのは、その目的が全く読めないことだった。  尤も、弟の慎も、素直に泣かされるような子どもではなかったけれど。  しばらく禅と無言の攻防を続けたが、労力の無駄を悟って、手を離した。禅は着崩れた服を直しながら、やや不満げな表情をした。 「あーあ。やっぱり真冬はうちの弟の信者だ」 「信者ァ?」 「慎の言うことなら、なんでもハイハイ聞くんだもんね。危ない橋って忠告しても、俺の言うことは全然聞き入れてくれないのに」 「あんたの言うこと聞く義理とかねえから」 「えー、酷い。これでも結構、真冬のこと気にかけてお世話してきたつもりなんだけどなぁ。忘れちゃった? 十歳の真冬に俺が手取り足取り――」  グーで殴ってソファに沈めてやった。最後まで言わせてなるものか。  本気で殴ったにも関わらず、禅はすぐに起き上がった。赤くなった頰に構うことなく、俺を見ながらにやにや笑った。  やっぱりこいつは変態だった。

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