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第4話

 ニセ女子高生・青柳 海(あおやぎ かい)が、こんなことを繰り返しているには訳がある。  双子の妹・青柳 宇美(あおやぎ うみ)が、電車で痴漢に遭ったのだ。  深手を負わないうちに、気づいた他の男性が間に割り込んでくれたことだけが幸いだった。 「可哀想な宇美。男性恐怖症になっちゃったら、どうしてくれンだよ」 「だから、って。仕返しもほどほどにしとけよ」  放課後の教室で、女子制服に着替える海を見ながら、仙道 永亮(せんどう えいすけ)は手をひらひらさせた。 「世直しだよ。あの路線から、痴漢を一掃してやるんだ!」 「触られたり、スカートに手ぇ入れられたりしてるんだろ?」  永亮の言葉に、海は横目で彼を見やった。 「だったら、永亮。一緒に電車に乗ってボディガードしてくれる?」 「それは……」

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