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第25話
「海!」
は、と蕩けかけた海の思考は正気に戻った。
永亮!?
何で!?
「ちょっと……。何やってんだ、あんた! 今すぐそいつから離れろよ!」
永亮が、腕をこちらに伸ばしてくる。
人目もはばからず大声を出し、痴漢を撃退してくれる。
「永亮ぇ!」
おやおや、と痴漢は挿入りかけた海から、身を退いた。
「彼氏、いたの」
まるで慌てず、痴漢は海から少しずつ離れてゆく。
「逃げンな、コラァ!」
永亮の顔。
あんな表情、初めて見る。
マジ切れした、永亮の顔は本当に怖かった。
永亮が海の元へとたどり着いた時にドアが開き、痴漢は電車から降りて行った。
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