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第34話
「ほんの一日休んだだけで、やれ規律を乱しただの、やれ他に示しがつかないだの。ウザいったら」
「僕が部長に訳を話すよ。だから」
「いいんだ。あんな部でサッカーやるより、海といる時間の方が大切だ、って解ったから」
「永亮……」
サッカーは続けるから安心して、と永亮は笑顔だ。
「ナイターでやってる、アマチュアサッカーのクラブがあるんだ。そこに今度、見学に行くつもり」
「……僕でも、やれるかな」
「え?」
「サッカー、僕でもやれるかな。永亮と一緒に、サッカーやりたい!」
「海~! やろう、一緒に!」
二人で、笑顔になった。
人ごみの満員電車に乗っても、互いを見失うことはなかった。
人波は、優しく二人を揺らしてくれた。
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