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第9話 意味のない自分
雪夜と距離を置いてから一週間
俺は、女を取っ替え引っ替えしては見たものの
やる瞬間になると雪夜を思い出して
目の前の女が霞んで見えた。
そうなるともう女を抱く気力さえなかった。
それでも、現実から目を背けたくて
酒に溺れた。
その生活が一ヶ月続いた頃、
普段は何も言わない両親から
いい加減にしろといわれ渋々大学に向かった。
その道中で、
雪夜の友人に会い、軽く会話をした。
他愛もない話だった。さしぶりだなとか
そんな話をした後に俺には耐えられない
現実が突きつけられた。
「雪夜は一ヶ月前に交換留学生として
アメリカに渡っていた……」
頭が真っ白になり何も考えられなかった。
胸の真ん中が酷く傷んだ。
ジクジクと膿んでいる傷口のように
熱を帯びて、そっと傷口を触るように
ゆっくりと雪夜の輪郭を思い描くだけで
胸が酷くざわめいた。
「なんで、!俺の隣に雪夜がいない!
離れたくない!嫌だ、お願い捨てないで」
心の中はそんな言葉ばかりが飛び交った。
結局俺はその日、
授業が全く頭に入らなかった。
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