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第11話年月の流れ

雪夜サイド 綾女と別れてから更に年月は進み、 交換留学を終わらせた僕はそのまま滞在して 研修先の幼稚園に就職先を決めた。 これは一種の逃げだったがそれも今となっては 懐かしく感じる。 それぐらい僕にとって 綾女との事は思い出になり 思い出す事も殆どなかった。 それが最近になり、周りの友人達から 綾女が両親の会社を継ぎその傍らで 独自の会社も経営していると聞いた。 その影響力は凄まじいらしく、 テレビでは引っ張りだこらしい。 海外に住んでる僕には関係ないと思っていたが 確かに影響力は凄いのだろう。 こっちのニュースにも時々 綾女の話が出ている。 海外に勢力を伸ばし始めているらしく、 手始めに僕の住んでる街に 子会社を建てるらしい。 テレビでは、それだけではなく彼の若さや ずば抜けた頭脳に華やかな経歴、 誰もが見惚れる程の容姿についても話していた。 こうして、客観的に見ると、 彼と僕が付き合っていたのが信じられないくらい 遠くに感じて少し寂しく思ったが。 僕にとって終わった事で後悔はしていなかった。 きっとあのまま付き合っていた方が もっと辛い思いをしていたから。

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