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第2-2話百谷兄弟の秘密?
光がちょっとずつ弱まってくると、三人の服も髪の色も魔法みたいに普段通りの姿へと戻っていく。
どういう仕組みだ? 光の角度で見え方が違うのか? 特殊素材でも使ってるんだろうな……髪も専用のインクで染めてるのか?
あまりに不思議な光景を目の当たりにして、俺の口端がニンマリと引き上がった。
「面白ぇ……っ。またやらないかな? しばらく見張っとかないと……」
テスト勉強で疲れていたこともあって、不意打ちの不思議コスプレ会に気分が高揚しまくってしまう。ウキウキして勉強どころじゃない。俺は暗くなってしまった隣の庭を、双眼鏡で眺め続けた。
――翌日、寝不足で俺の体はフラフラで、まぶたが勝手に上下でくっつこうとしてたまらなかった。こんな状態になってまで粘ったのに、あれからの成果はゼロ。俺の寝不足は無駄な努力に終わっていた。
「……行ってきます……」
重い足取りで家を出ると、ちょうど圭次郎も学校へ行こうとするところだった。
「あ……」
思わず目が合って、俺は相変わらず愛想ゼロの冷ややか男の顔を見る。
やっぱり近くで見てもきれいな王子様顔だ。よく王子様コスやってるから、そういう顔になっちまうのかなあ――なんて内心笑いそうになっていると、
「……何見てんだ。さっさと行って俺の視界から消えろ。目障りだ」
ハッキリとした塩対応をされて、俺は「はいはい……」と手を振りながら先を歩く。
圭次郎に背を向けながら、あんなクールなフリしてコスプレには熱いヤツなんだよなーと思い、俺はニヤけながら学校へと向かった。
家族ぐるみの異世界コスプレごっこ……あれを知ってしまったせいで、俺は圭次郎のぶしつけな態度に腹が立たなくなっていた。
だって、本当のお前は王子様だもんなー。
……これから観察して、お前の生態を掴んでやる。そんでもって何かしてきたら、みんなにバラしてやろうっと。
こうして俺の百谷家――主に圭次郎――の観察ライフが始まった。
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