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第4-2話間近で観察も乙なもの

 大物だコイツ……と内心俺は困惑する。悠も驚いて目を剥いていたが、俺と違ってこういうことを完全スルーできるような性格じゃない。キャラ弁と圭次郎を交互に見ながら、悠はおずおずと尋ねてきた。 「え、えっと、百谷君の家に、小さいきょうだいがいるの?」 「別に……家の中では俺が最年少だが?」 「そう、なんだ……その量、足りる? 男子高生には少なすぎる気がするんだけれど……」  明らかに異質な弁当への優しいツッコミに、圭次郎は「はぁ?!」と動揺で困った様子を見せた。 「これが流行りじゃないのか?! 弁当なるものを調べたら、これが主流だと……間違えたな、アイツら……っ」  次第に怒りが混じって舌打ちする圭次郎に、思わず悠の肩がビクッと跳ねる。  ……えーっと、設定は世間知らずの王子様とお付きの者どもって感じなのか?  実はコス好きを隠す気ないのか? なんて吹き出しそうになりながら、俺は自分の昼メシに持たされていた割引パンの詰め合わせを机に出す。そして袋を開けてから、パンをひとつ差し出した。 「足りないならコレやる。明日からはもっとたくさん作ってもらって来いよ」  なぜか圭次郎は呆然となって俺を見つめてくる。きれいなイケメンに見つめられると照れるな……と恥ずかしくなってきて、俺は返事を待たずに圭次郎の机にパンを置いて押し付ける。  ふと圭次郎の整った眉間にシワが寄り、悔しそうな色を見せる。でもパンを手に取っても突っ返すことはなく、細長い息を吐くばかりだった。 「……恩に着てやる。ありがたく思え」  偉そうにしながらも一応礼を言いながら圭次郎がパンにかじり付く。  あー……人に懐かない野生動物にエサあげてる気分になるなあ、なんて胸をほっこりさせながら、俺は重度の王子様キャラを拗らせた圭次郎ウォッチングを間近で堪能した。

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