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第31-2話プライバシー皆無の現状

 ゾクゾクゾクッ、と足先から頭の頂上まで甘い痺れが駆け上る。思わず俺は自分の体を抱き締め、ベッドの端まで素早く移動してケイロから離れた。 「な、何しに来た?! まさか、またヤりたいなんて言うんじゃないだろうな? 昨日も今日もあんなにヤって、体が持たねぇからな」 「太智が望むなら抱きたいところだが、さすがに腹の傷が痛んでキツいな……隣から延々と唸り声が聞こえてきたら、嫌でも気になる。さっさと寝てしまえ」  そうか、魔法で俺たちの部屋が行き来自由になってるから、声も筒抜けになっちまうのか。独り言すらできないなんて……。  いびきや寝言も筒抜け。自慰なんてしようものなら、なだれ込んできて襲われる展開待ったなしだ。  プライバシー皆無の現状を改めて思い知って俺がうな垂れていると、ケイロはベッドの縁に腰かけ、俺に話しかけてきた。 「ところで今日は予定が狂ってしまったが……バスケとは何か、教えてくれないか?」  あ、部活行く前に教える約束してたな。でも、あれはボール持って体で覚えたほうがいいと思う。口頭で説明できるほど、俺は話上手じゃないし……はっ! こんな時こそ……!  俺は唐突にベッドを下りて本棚の前へと向かう。そして、そこからズラッと並んでいた漫画を取り出した。

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