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第50-1話輝石の力

 夜になっても俺がベッドでゴロゴロしていると、 「やっていることが昼間とまったく変わってないな、太智」  なんの前触れもなくケイロが部屋に入ってきて、俺はビクッと肩を跳ねさせる。 「急に入って来るなよ! せめて一声かけてくれ。親しき仲にも礼儀ありって言うだろ?! お前だって俺が不意打ちで部屋に来たら困らないか?」 「驚きはするが、歓迎するな。お前から積極的に夜這いへ来てくれるのだからな、喜んで相手をするぞ」 「なんでもかんでも夜の営みに繋げるなぁ……どうしてこんなにヤりまくってるのに、まだ身の危機を感じなくちゃいけないんだよ」  筋肉痛を全身へ響かせながら体を起こした直後の問題発言に、俺はベッドの上でうな垂れる。そして密かにケイロが部屋へ来た途端、いつも通りの空気になったことを驚く。  昼間に悠から教えてもらった話を延々と考えて、ついさっきまで引きずって胸が重たくなっていたのに。あっという間に元の調子を取り戻して、何事もなかったようにやり取りできてしまう。  まだ出会って二か月が経過するかしないかの期間なのに、もう夫婦の空気が板についている。  ケイロについて知らないことが山ほどあるっていうのに……。  俺は頭を掻きながらケイロへ尋ねる。 「今日はどこへ行ってたんだ? もしかして、あっちの世界?」 「ああそうだ。面倒なことに色々と報告しなくてはいけなくてな……奪われた百彩の輝石は、我が国にはなくてはならない秘宝。早く取り返さなくては、これからの行事や国の大事にも影響が出てくる」 「百彩の輝石ってそんなにすごいものなのか?」 「ああ。遥か昔、精霊王が親愛の印にと祖先へ贈ったものらしい。それを覇者の杖にはめ込めば、その杖を手にした者はすべての精霊を使役し、あらゆる魔法を可能にする。手にしたものが世界の破滅を願えば、それも叶えてしまう……それだけ危険な石だ」

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