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第49-2話それだけでいいのかよ?!
『太智は何をされたの?』
『口では言えないスゴいこと……察して。頼む』
『あ……え、最初から?』
『最初から。もうお婿に行けない』
『どうしてそんなことを……そこまでしなくてもいいのに』
頭の片隅でチラついていた疑問を悠に書かれ、俺の中の戸惑いが一気に膨らむ。
抱かなくても良かったのに、なんで嘘までついて俺を抱いた?
ただの暇つぶし? いや、ケイロはこういうことを無意味にするヤツじゃない。何か狙いがないとしないヤツだ。
今まで即席で積み上げてきたものが、最初の始まりが作った土台が揺れて崩れ落ちそうになる。
そんな俺の動揺を返信の遅さから汲み取ったのか、悠から『大丈夫?』と心配するメッセージが入ってきた。
『立場上、僕たちは敵同士ってことになるから、こういうことを書いたら勧誘っぽくなっちゃうんだけれど……その王子、信用してもいいのかな?』
『……分からない』
『ちょっとあの人に相談してみてもいいかな? もしかしたら太智を自由にしてくれるかもしれない』
悠の気持ちが嬉しい。でも、同時に敵と接触できればケイロの役に立てると考えてしまう。
嘘をつかれて利用されているのかもしれないと思っていても、昨夜のケイロから言われた言葉が頭に焼き付いて離れない。
俺を選べ……絶対に揺らぐな……。
まるでこうなる未来を読んで、愛の言葉で釘を刺してきたような気がして、目頭が熱くなった。
しばらく考えて――俺は『分かった』と返事を送った。
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