88 / 121

第49-1話それだけでいいのかよ?!

 悠の質問に俺の全身がカッと熱くなる。  ヤってるどころか、ヤりまくって完全に取り返しのつかない関係になっちまってるんだけど。  なるべく昨夜のあれこれを思い出さないようにしつつ返信する。 『……だって、やらねぇと自爆するみたいだし』 『必要なことでもさ、割り切れないよね』 『あー、ムリムリ。三日に一度は中に出されないとダメなんだぞ? 体も頭もおかしくなるって』 『え……? 三日? 中に出されるって……?』 『え? 悠は違うのか?』 『僕は……一週間に一度、キスしてる。舌を絡め合う濃厚なやつ』  思わずスマホの画面を見ながら俺は固まる。  そして動揺任せに素早く文字を入力した。 『はぁぁ? それだけでいいのかよ?!』 『それだけって……ベロチューだよ?! しっかり唾液飲まなくちゃいけないんだよ?!』 『俺のに比べたらかなりマシだから! 時間かかんねぇし、体に負担もかからねぇし、キスなら挨拶みたいなもんって割り切れるし!』 『割り切れないよ! あんな濃厚なの毎回されたら……』  悠の困惑が伝わってきて、不意に保健室で指輪を見せてきた時のことを思い出す。  巻き込まれたのに相手と夫婦であることを受け入れていた――悠の本心が分かって、俺はため息をついた。  そうだよな……ベロチューでも意識しちまうよなあ……中に出されちゃったら、意識するどころじゃなくなるよなあ……。  思わず遠い目をして現実逃避しかかった俺を、ピロリン、と返信の通知音が引き止める。

ともだちにシェアしよう!